「キュレーション2.0」はまだか
「キュレーションサイト」というものがある。
流行の旬は過ぎてしまったようだが、NAVERまとめやGunosy、nanapiだのRETRIPだの、キュレーションを名乗るサイトはまだまだ多い。
あ、はてなブックマークもそうかな?
2ちゃんねるまとめブログも、ある意味でこれに入るかもしれない。
確かに現代のネットでは流通している情報の量が多すぎる。
それらはまさに玉石混交と言おうか、現代のネットユーザーは浜の真砂のように膨大などうでもいい情報から有益な情報を探し当てねばならない。
とは言え人間の情報処理能力は有限である。一説によると現代人が一日に接する情報は、中世ヨーロッパ貴族のそれを超えるとか。とても一般人の手に負える量ではない。
人生は短い。
そうした現状では「他の誰かが有益な情報を選んでくれるサービス」というのはいかにも魅力的である。ネット起業が参入するのも理解できる。
だが自分に照らして申し上げれば、既存のキュレーションサイトはあまり使いものにならない。自分にとって益のない情報もノイズとして混ざりこんでいる。ノイズとは言えPV稼ぎに目を惹くタイトルをつけているものだから始末が悪い。
一方で本当にほしい情報は運ばれてこない。結果として無駄な閲覧時間を浪費し、何のためのキュレーションかとため息をつく次第である。
あなたはそうではないか?
そろそろ「キュレーション」も次のステージに上る段階だと思うのである。これを「キュレーション2.0」と呼ぼう。
鍵を握るのはたぶん、Googleだ。
ご存知のようにGoogleは現在でも検索履歴や位置情報を参照してユーザーの端末に広告を表示している。検索結果も変わる。
だがそれは、●●というカメラを検索したらそればかりが広告枠に出てくるとか、居住地近くの分譲マンションが紹介されるとか、お世辞にも有益とは言いがたい。
極端な話、私はGoogleにもっとプライバシーを知られてもよい。
生年、出身地、学歴、専攻科目、勤務先、年収、家族構成、何でも聞いて欲しい。
一例を挙げる。例えば私がこれまで読んできた本とその評価を全てGoogleに伝えたとする。
「エルマーの冒険」から池波正太郎、フォン・ノイマンまで、覚えている全てを入力し、それぞれをレーティングする。
そうすればきっと、「あなたが読むべき本」をGoogleは教えてくれるだろう。
「購読すべき書評系サイト」も教えてくれるかもしれない。
収入と買い物・支払いをGoogleに伝えれば、家計管理だとかより良い買い物、保険の見直しプランも教えてくれるに違いない。
「仲良くなれる可能性の高い人」のTwitterアカウントも知らせてくれるかもしれない。
そしてそれらをGoogle経由で購入する。その手数料で不足なら、年収の1%くらいは払っても良い。
私を苛つかせる情報、無益な情報は目の前から消え失せ、自分でも気づかなかったニーズに応えてくれるようになるだろう。素晴らしいじゃないか。
もちろん、そうしたプライバシーの切り売りを嫌悪する人もいよう。
だがあなたのプライベートはそれほど価値のあるものなのか?
精度の高い有益な情報を得るの対価として相応とは思えないのか?
そうした人はもちろん、キュレーション2.0に加入しなくても良い。選択の自由は許される。
利便を追求する現代社会において、キュレーション2.0を待ち望む人は決して少なくないはずだ。